グッドマン・インタビュー

その58 (1999年7月)

鎌田雄一


岩崎正樹 (as)

1967年4月27日、生まれ。浦和、育ち。
県立大宮東高校、普通科、卒。
グッドマンには、'99年2月より、毎回、違う人とデュオかトリオで出演。

サックスを始める前は、やっぱりギターなの?
 ギターです。今も演ってます。

グッドマンではサックスだけ、だけど、テープきかせてもらったら、gとvoは灰野敬二、サックスは阿部薫を連想してしまったんだ。好きなの?いやな質問かな?
 別に、いやじゃない。好きです。特に灰野さんは。

どういう流れで好きになったの?又、どんな所が好き?
 ミュージックマガジンという雑誌を、15年間、ずっと読んでいるんですが、その記事を読んで、おもしろそうだなと思ったものを聴いていて、その中に灰野さんのレコードもあった。自分では、そんなに彼を意識は、してないんですけど……。フリージャズが好きなので、はだに合った。

他には、どんな音楽をきいてるの?
 アバンギャルドな音楽も好きですが、色々な国の大衆音楽が好きです。例えば、インドネシアのエルフィスカエシ、タイのプンパァドゥアンチャン、パキスタンのヌスラットファテマリハーン、ナイジェリアのフェラクティ……など。
 前衛、前衛した音楽は嫌いです。例えばセシルテイラー。

へー、それは、西洋音楽の延長としての前衛が嫌いって、ことなの?例えば、現代音楽とか。
 現代音楽は、嫌いですね。ジョンケージとか、友人の家で少しきいたけど、まったく、ピンと来なかった。
 ソウルもしくはブルースを感じる音楽は、ジャンルを問わず好きです。……ただ、サンバは苦手です。例外的にカルトゥーラだけは好きですが……。いわゆるサンバの名盤というのを何枚か聞きましたが、ダメでした。……ただ、ブラジルのバイヨンというジャンル?のルイスゴンザーガは大好きです。

現代音楽の中にも、その作曲家の魂(ソウル)を感じさせるものは、あるよ。
 実は、機会がなくて、まだあまり聴いてないんですよ。

アジア、アフリカ、南アメリカの大衆音楽が好きってのはよくわかったけど、自分で、そういう音楽をやろうとは思わないの?今、グッドマンでやってる音楽とはすごく違って、きこえるけど。
 演ろうと思わない。今まで、聴いた音楽をコピーしようとしたことは一度も、ないし。……ただ、自分の中では、違わないんです。他の人は、どう感じるか、わかりませんが、自分では、ブルース、ソウル、ワールドミュージック、と思って、グッドマンで演っています。例えば、マディウォーターズのカナリーバードのギターとか、オーネットコールマンのサックスの音色の拡大解釈だと思っています。

それって拡大解釈したとたんに、大衆音楽から、はなれちゃうんじゃないの?ブルースにしろ、ワールドミュージックにしろ、自分の本来の資質と、ムリヤリにしろ、あこがれて、にしろ他の世界の要素との、せめぎあいで成り立っているわけじゃないですか。それを自分の資質だけで拡大したら、音楽が、すごく個人的なものになってしまう、と思うけど。
 そう言われると、少くとも大衆と名のつく人数の人に支持されている音楽に比べて、自分がやっていることがつまらないことのように思えてきちゃうなぁ。でも聴いて好きな音楽と、実際に自分が演りたい音楽は、どうしても違うんですよ。……とにかく、今やっていることを、より良いものにしていくしかない、と思う。

なるほど。……音楽仲間とは、どんな風に知り合ったの?グッドマンで、やる前は、どんな活動してたの?
 '95年頃から、20000Vという高円寺のライヴハウスでソロないしは、主にサイトウカツトシ氏というドラムの人とデュオを演り出して、2〜3年やりました。平行して、不定期に人数集めて、スタジオセッションも、やっていました。
 知り合ったのは、ライヴの時に対バンドになったのがキッカケだったり、先のミュージックマガジンに自主製作盤のコーナーが、あって、面白そうな人のテープを買ったりして、知り合いになりました。4月に一緒に演った秋山徹次氏、6月に一緒に演る長沼大介氏も、そうです。

では、ここで5月に一緒にデュオを演った、前回インタビューの坂上さんからの質問です。「これは、皆が言っていることなんですけど、岩崎さんとやると、いつも怒られる、ないしは首をかしげられるそうですが、一体、何をどんな風にやりたいのですか?こんな質問は実に答えるのが、むずかしいとは思いますが。
 えーっ、そんな事、ないよ。一回くらいは、あったかな?なるべく平静な態度をとっているつもりなんだけど、気持ちが、すぐ顔に出ちゃうのかなぁ。
 いい演奏を演りたいだけで、言葉にすることはできない、と思います。

グッドマンのライヴでは、なぜ毎回違う人と、くんでやろうと思ったの?
 以前、ドラムとのデュオで演ってた時は、前もってある程度、こういう感じで、みたいに、かなり決めていたのですが、グッドマンでは、もう少し自由に演りたいと考えまして……。
 まぁだいたい、この人とだったら、一緒に出来そうだな、もしくは、一緒に演りたいな、という人に声をかけて一緒に演ってもらってます。想像していたことと違う演奏になったりして、それを楽しんで演っています。


岩崎さんちは、南浦和から……?……車で送迎してもらったから、位置関係は、わからないや。
南浦和には、適当に目指して行ったので、やたら、のりかえ、のりかえで、たどりついた。いっぱい、なんとか線なんとか線って走ってるんだね。
少し早めに着いたので、例によって、街をブラブラ散策。これが楽しみで、インタビューも、やめられない。大きな古本屋があったので、ついフラフラ入って、中古ビデオの棚をみていたら、ウォシャウスキー兄弟の「バウンド」が980円。買ってしまいました。
帰りは、北戸田?という駅から埼京線で来たので、のりかえは、新宿だけ。以外と[原文ママ]時間、かからなかった。
次回は、ss, ts, bclの山口正顯さんの予定です。彼は、店から歩いて3分の所に住んでいるので、楽だなぁ。

グッドマンインタビュー
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