グッドマン・インタビュー

その (2003年8月)

鎌田雄一


加藤吉樹 (g)

1971年1月21日、大阪に生まれ、7才から約5年プエルトリコですごし、大阪に戻る。
愛知県立大学外国語学部、卒。
グッドマンには、去年の10月より、それまで2ヶ月おきに出演していた「鶴亀トリオ」に参加。「カルテット」になって、1ヶ月おきに出演。9月以降は「鶴 亀」で活動予定。ちなみに8月だけは、telenco の naya さん(g)が都合わるいので、ピンチヒッターで、telenco に参加します。

鶴亀カルテットの人脈がイマイチわからないんだけど、どう いう仲間で、どうやって知り合ったの?
 僕は、今、小野さん(tp)に色々教わりながら、建物の防水の仕事をしているんです。久保さん(ts,g) 渡辺さん(perc)、の僕以外の三人は、みんな親方で、それぞれ別々の現場で仕事しているんですけど、同じ防水の仕事仲間です。
 僕がギターを弾くというのを小野さんが知って「鶴亀」のセッションに誘ってくれたんです。

そのセッションの前は、即興というか、何も決めないで演奏することは、あった の?
 今もやってる10人位の編成の即興演奏するバンドに参加する機会があったり、うちの奥さんが、即興で絵を描く機会があった時に、少人数で、何も決めず に、その場の空気のようなものを音で表現、……というよりも、なんか、ただ自分のギターと、その場のお客さんと、彼女の出来上っていく絵が、偶然だけど、 必然的に、そこにある、というようなことを、あまり難しく考えずに、ただ自然にやってました。

そのバンド、面白そうだね。もう少し、くわしく宣伝してもらえます?
 え〜と、まず、スッパマイクロパンチョップさんというリーダーがいまして、この人は一人で多重録音した作品を CHILDISC というレーベルから何枚か出しています。(7月の telenco にゲスト出演するそうです。) その彼が、色々な所で出会ったミュージシャンを集めてつくったのが、そのバンドです。
 このインタビューの前々日、6月27日にビンスパークという店で、一年ぶりに演奏がありました。以前はもう少し、ひんぱんにライヴをやっていたのです が、今回は、8人編成でボーカル他色々やる人が3人、ギター3人、ベース、ドラム、で、やりました。
 ドラムとベースが刻むビートに、みんなで音をのせていくというやり方では、なくて、全員で流れのようなものに乗って8人がひとつの楽器になったような演 奏だったと思います。リーダーがライヴ前に、その日の演奏の道すじのようなものを説明することも過去には、ありましたが、今回は完全に即興でやりました。 バンド名は「?ナゾバンド」といいます。
 そのバンドで出会ったドラマーと、あと別の筋で出会ったベースとのトリオでダンスバンドをやろうといって、今、セッションやってます。ライヴは 8/31、国立の地球屋というライヴハウスでやる予定なんですが、とにかく今まで聞いたことのないダンスバンドをやりたいと思っています。バンド名は「マ ンゴスチン」です。

名古屋から大阪に帰らず、東京に来た理由は?
 大学を一時休学して、バンドをやっていたんです。その頃、東京から演奏しに来てた寺田町さんという人と対バンになって、その人の歌と人柄にひかれて、東 京に行けば、こんな人が、たくさんいるのかなぁ、と思いつつ、でもそんなに何かに期待するわけでもなく、ただ、ギターを弾きに、やってきました。
 もともとシミヘンドリックスがすごく好きで、シンプルなコード進行の中で、そのキーに乗せて自由に思うままに弾くのが好きでしたから、そういうロックバ ンドをやったり、弾き語りの人のバックで、その人のコードに合わせて即興で弾いたりしてました。でも、それは、今、鶴亀でやっている即興とは、また全然、 別の即興ですね。

さっき、奥さんの絵と共演した話が出たけど彼女の絵は、どうですか?
 好きですね。描くたびに、今まで描いた絵と違うのが生まれるんで、見るのが、とても楽しいです。……でも絵と共演するのは面白いと思う部分もあるけど、 自分の出す音と絵を描く人が、お互い相手がいたから、こんな作品が出来たと思う視点が、ミュージシャン同士で作品を作るのとは、また違うので達成感という か、なんかそのライヴの意味というのか、なんかそういうのを後で考えると何かよくわからなかったりもします。でも結局は、もっと面白いものが出来るはず だ、と思っています。
 これからは、機会があれば、動く映像との共演が、したいと思っています。まだやったことがないので、ものすごく興味があります。音と映像は、お互いに、 かなり大きく作用するんじゃないか、と思います。

では、今度は奥さん(野田慈子、5月にトイレ個展をやった方です。) に質問。彼の演奏は、どうですか?
 面白いと思います。流れている時間と空気が、自分に合っているんだと思います。……実は、彼との出会いも、私が友達と井ノ頭公園に絵を描きに行ってて、 何を描こうか考えながら歩いていたら、音がきこえてきて、彼がイギリス人のアコーディオン弾きと二人で演奏してたんです。音と、そこの空気にひかれて、描 いてみたいと思い、すぐいなくなっては困ると思って、声をかけたのが最初なんです。

へーっ、映画みたいな出会いですねぇ。いいなぁ。……ところで、加藤さんに質問 を戻して、フリーな音楽好きが集まって、全員同じ防水の仕事っていうのも、 すごいですねぇ。
 そうですね。……たまーに、全員が、同じ現場にそろう時があるんですよ。去年の夏、夏休み中の幼稚園の工事があったんです。朝のまだ8時前の、のどかな 「なつやすみ〜」って感じのところに、久保さんが車の窓を開けて、フリーな音楽を大音量でかけながら現れたんです。僕らは、「また、朝から、すごいのきい てるなぁー」とか言って笑ってたんですけど、よく聴くと、自分達の演奏だったんですよ。……その現場に僕はウクレレを持って行って、久保さんに、おこられ たりしたんですけど、結局、そのウクレレ、久保さんも弾いてました。

では前回インタビューの富田さんからの質問で「三日間ほど誰か他 人になれるとしたら、誰になって何をしますか?
 誰になりたいか、は、ちょっと思いつかないんですけど、誰かになって、自分たちが演奏しているのを見てみたいです。めっちゃ、こわい! けど。

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