グッドマン・インタビュー

その (2003年9月)

鎌田雄一


納谷一人 ナヤカズヒト (g)

1969年7月8日、青森県に生まれ、育つ。
多摩美大、芸術学科、卒。
グッドマンには、今年の4月より、telencoのメンバーとして、毎月出演。

 telenco は、g、g、perc、で、変わった編成ですが言いだしっぺは、だれなの?
 自分ですよ。

人間で選んだの? それとも、ギター2本にパーカッション、ということに意味があるの?
 自分は、brig という大所帯のバンドをやってまして、他の二人も、そこのメンバーなんですよ。……結構、おもしろい人材がそろってまして、……Shhh (シュウ)さん(g)と、たまにセッションでも、してみようか、ということになって、taro さん(ds)とやった時にすごく良くて……バンドにしちゃおうか、と、こうなったわけです。

brig ってのは、何人で、どんな編成? どんなバンドなの?
 今は、g4、eb2、key2、p1、perc3、ぐらいかなぁ。いわゆる、ミニマルミュージックの集団即興ですね。……ミニマルは、ひととうり聞いて は、いましたが、特に興味があったわけでは、なかったんです。最初は、もっと少人数で、即興演奏をしていたんですが、もっと良くまとまる方法は、ないかと 考えているうちに思いついたんです。
 brig は、「過程(プロセス)」では、なくて、「模倣」の音楽ですね。模倣しやすい単純なフレーズをつくり出すこと、そして、それを模倣したり、ずらしたり(ず らすことは模倣を前提としていますので)することで音を構成していく。……サウンドがどうのこうのというより、演奏者の「倫理」といったら大ゲサですけ ど、内的な事情の方を優先したものですね。
 みんな、自分のバンドやソロ活動している人達がメンバーなので、組合的に運営していってます。今は、月に一回のペースで「thanatas music series」というイベントを都内各所でやってます。
 演奏する場所によって、現代音楽の枠組でとらえられたり、クラブミュージックの枠組で、きかれたり、色々です。9月1日に東高円寺のUFOクラブで、演 ります。ききにきて下さい。

組合的に運営って、具体的に、どういうことなの?
 メンバーは、みんな自分の活動の方も大事でしょうから、brig には、参加できる時だけでも、かまわない。このバンドは、メンバーが個性を主張し合ってやる音楽じゃないので、そうやって「かけもち」でやってた方が長く 続けられると思いまして……。
 10人位の人間が同じことをして成立する音楽というのは、通常の、リズムがあって、ベースがあって、メロディーがあって、という成り立ちとは、反対のも のですから、普通のバンドのヒエラルキーのある音楽に親しんでおいた方が、brig の特異性を、より良く理解できるんじゃないか、と思いますね。

じゃあ telenco のメンバーも、それぞれ普通のバンドもやってるの? telenco をきいた限りでは、3人ともロックが基本にあるんだろうけど、naya さんは、それにジャズやボサノバの要素が、Shhh さんは、ファンクっぽい要素が加味されてるように、聞こえますが。
 自分は、「passtone」っていう、ジャーマン&ブラジルテイストのインストバンドをやってます。このメンバーも、だいたい brig のメンバーとダブってますけど、ハハハ。Shhh さんは「プラズマ11(イレブン)」っていう唄ものロック、とか、色々やってます。taro さんは「pineapple tom」っていうレゲエっぽいバンドやってます。
 自分は、三好巧郎さんにジャズギターを習ってたこともあるし、ボサノバのバンドに入ってたこともあるので、おっしゃるとうりですね。……Shhh さんは、どうだろう? 見ためがファンキーだからかなぁ。アハハハハ。

ウフフフフ。……brig と telenco では人数がちがうのは、もちろんだけど、何かちがうことをやろうとしてるの?
 brig は、フロントに立つ人とか、バックにまわる人とかの、区別が無いのが理想ですけど、telenco は、そういう部分プラス、普通のアンサンブル的な状況も、次々と繰り出していくスタイルですね。

その変化の時間感覚のバランスのとり方がムズカシそうですが、きいてて、アレッ アレッという感じで面白いですね。
では、ここで、前回インタビューした加藤ヨシキさんからの質問で「ギターに、あ きる時は、ありますか」
 最近は、あんまり、ないですね。
 昔は、よく、あきるっていうじゃないけど、煮詰まってました。……でも、ギターしか弾けませんから……。

煮つまった時は、どう対処してきたの?
 読書か、映画みるか……あとは、寝る。
 学生時代は、フリージャズを聴いて、思想書を読んで……という毎日でしたね。オーネットやコルトレーンも好きでしたけど、ヨーロッパの ICP、INCUS、FMP レーベルのものをよくきいてて、それで、ニーチェ、バタイユ、ブランショを読む、という感じでした。映画は、ゴダールとトリュフォーが好き。当時のまわり の学生からみたら、ものすごい時代錯誤っすね。

最近は?
 昨日の夜中に、ヴェンダースの「パリ、テキサス」を見ました。本は、最近、読んでない。プログレの CD カタログみたいな本、読みました。最近、よく聴くのは、ジャーマンプログレッシブロック。おもしろい音が、たくさん入ってる気がしてがっかりさせられます ね。ハハハハ……。

 Naya さんちは高円寺。自転車で、住所たよりに行ってみると、何と、そこは、何年か前の夏、熱中症になりそうになってインタビューした細田さん(g)のアパー ト。エーッと思ったけど、実際は、2〜3軒となりのアパートでした。しかもクーラーつき。

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