グッドマン・インタビュー

その81 (2001年6月)

鎌田雄一


 ゴセッキー(後関好宏) (ts, ss, bs)

1978年2月25日、東京都江戸川区に生まれ、育つ。
尚美学園短期大学、音楽学部、器楽科、サックス専攻、卒。
グッドマンには、2000年7月より、吉田隆一bs,fl 藤ノ木みか うた,perc とのトリオで出演開始。
現在、7人編成の「ねこマン」メンバーとして、1ヶ月おきに出演中。

サックスを始めたのは、早かったの?
 中学校に入学した時、姉に、勝手にブラスバンド部へ入部届けを出され、「希望楽器はサックスです」と言いなさい、と強請され、テナーサックスを始めました。

でも今まで続いてるってことは、自分に向いていたんですね。ジャズは、いつ頃から?
 音楽には、まったく向いていませんでした。サックス、きらいでしたから……。
 でも中2の時('91年)、ソニーロリンズのコンサートのCMを見て、ジャズサックスってカッコイイナーと思い、コンサートにも行ったし、CDを買ったり、TV放映をビデオにとって、みまくりました。聞く方はスゴク大好きでしたが、この頃は、自分で演奏するのは、そんなに好きじゃなかったですね。ドレミがまともに吹けなかったし……。
 中学3年の時に、クラシックのコンサートで初めてクラシックのサックスの音を聞いて、スゴイショックを受けました。サックスにクラシックが有るなんて、当時の僕は知らなかったので、最初は何の楽器の音だか、わかりませんでした。でもソロが出てきて、ホール中にサックスの音がブワーッと広がった瞬間に、完全に、やられてしまいました。
 それから、クラシックをやりたいと思い、楽器で入れる高校に行こうと、その日から、毎日練習するようになりました。高校に入ってからも、音大受験をめざして、毎日、サックスだけ吹いていました。授業もほとんど出てませんでしたから。

大学では、どういうことをやってたの?
 フランスの現代音楽ばかりやってました。フリージャズみたいなやつ。でも、僕の先生は、モーツァルトとか、バッハのフルート曲なんかをサックスでやらせたり、日本の童謡とかも生徒にやらせて、言葉とフレーズの歌い方とかを教えたりする、クラシックサックスの中では、少し変わった先生でした。

菊地成孔さん(sax)に、ついたのは、大学を出てからなの?
 学生の時に、坪口さん(key)がコンピューターミュージックの先生をやっていて、坪口昌恭プロジェクトというバンドを見に行った時に紹介してもらいました。それから1年間くらいして、菊池成孔トリオを聞きに行って、ファンになりました。現代音楽とジャズが、まざったような感じ、と吹いている姿がカッコヨクテ、数回、見に行きました。少し仲よくなってきたので、思いきって「サックス教えて下さい」と言ってみたら、あっさりOKで、それ以来、習っています。
 とは言うものの、サックスのレッスンでは無く、S.グロスマン、D.リーブマンなどのCDをコピーして、ふたりで「このフレーズ、スゲー」とか言いながら、コードとスケールの分析をするんです。レッスンに菊地さん、サックス持ってこないですから。(笑)

ピットインでバイトするようになったキッカケは?
 高校生の頃からズーッとバイトしたくて、店の人に「バイトさせてー」って言ってたんですよ。それで、1年前くらいに、やっと空きが出来たので、昼の部のバイトをするようになりました。と言っても、週3回やってたのは最初だけで、最近は演奏が多くなって、週1回くらいしかやってません。

昼の部で印象に残ってるライヴは?
 林栄一さん(as)と高畑信吾さん(eb)が、やっていた「サイケデリッククレージーホース」ってバンドがあって、それが見たくて、昼の部によく行ったのを覚えています。クラシックをやってたので、林さんのフリーキートーンはショックでした。……あと、地下にあるっていう店の雰囲気も好きで、目当てのバンドがなくてもひまな時に、ちょくちょく行ってましたが、スタンダードジャズのバンドよりも、ドッカーンって感じのロック風のが好きでした。

バリトンサックスの吉田さんと知り合ったキッカケは?
 「東京中低域」というバリトンサックスだけのバンドが結成されるという話が、マネージャーの方からあり、バリトンを持っていないのに、バンド参加を希望して、その事を、初対面の吉田さんに相談したのをキッカケに知り合い、説教を、くらいました。

じゃあ、ここで、前回インタビューした臼井さんからの質問で「東京中低域や吉田隆一さんとのセットの他にも色々なバンドに参加していると思いますが、あなたにとって即興演奏とは、どういう位置づけなのでしょうか?
 ウワー!!これが来るとは……。えっとですね、僕はTスクエアーのファンで……(ウソ)、
 ホント、あんまり家とかで、インプロ系のCDとか聞かないので、良くわからないんです……。僕はヘタなので、指がもつれ、タンギングがもつれ、頭が興奮して、……ついつい、そう成ってしまうのです。ただたんに下手なだけです。グロスマンに、あこがれるが吹けないから、気合とテクニックが、からまわりしてヘンテコなサックスプレイに成ってしまうのです。(苦笑)
 今、どっちかといえば、ジャズのライヴハウスとかで演奏するよりも、夜中にクラブで演奏してる方が多いかもしれないです。……ホーンセクションとかで。菊地さんの「デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン」という11人編成のファンクバンドとか、歌のバックのライヴやレコーディングとかが多いんです。

では最後に、今後の自分の音楽的展望などありましたら、どうぞ。
 とにかく、上手く成りたい!!そして、モーニング娘の、バックでホーンセクションをやって、ミニモニのカゴさんと友人になる。イヤースバラシイ。なんだかんだインタビューで言ってますが、結局アイドルオタクなのです。サックスを使って、自分の欲求(アイドルと仲よくなる)を満たす。処世術です。……なんて、ボクは、みじんも思っていませんが、……おとといまでは、思ってたかもしれません。(全てウソ)
 まじめな事を言うと、最近は、自分のバンドを始めようと、動いています。タブラとかが入ったECM系ディスコサウンドのバンドを考えています。サタデイナイトフィーバーとかみたいな音楽に興味があって、ここんとこ'80sディスコばかり聞いてます。ハービーハンコックのロックイットで、おどる時代が、また来るとイイナー!!(全てウソ)。

完。

いつも、上映が終ってしまった映画ばかり褒めていて、役に立たないので、公開中のを、ひとつ。去年、次点に入れた「サイダーハウルルール」を撮ったラッセハルストレムの「ショコラ」、今年のベストテンに入ります。
 ジュリエットビノシュは肩の力が抜けていていいし、ジプシーギタリスト役のジョニデップも最高。「蜘蛛女」のレナオリンが全く違う役で出て来てビックリ。ラッセ監督の奥さんだとは知らなかった。
 5月の映画の日は、「イギリスから来た男」が良かったので、ソダバーグの「トラフィック」にしようか、迷ったが、リドリースコットの「ハンニバル」を見た。次点にも入らない映画だが、こういう普通にしっかり作ってあるのが好きなんだ。こういう娯楽作をいっぱい見たいなぁ。

グッドマンインタビュー
[<< 前へ]    [目次]    [次へ >>]

inserted by FC2 system