グッドマン・インタビュー

その65 (2000年2月)

鎌田雄一


 西田 圭 (ひとり芝居)

1951年9月6日、石川県金沢市に生まれ、育つ。
石川県立金沢泉ヶ丘高校、普通科、卒。
グッドマンには、'99年6月より、毎月、出演。

演劇の世界に入るキッカケは?
 高校2年の時、初恋をした相手が演劇部にいたのですが、見事にふられました。そして、その時は、そうでもなかったのですが、僕も芝居を演ってみたくなったのです。
 高校3年の時の文化祭で、いつも勉強ばかりしていた同級生が、放課後、力を合わせて、ピラミッドを作り、見んなで、振りつけもしたりして、1位になったことが、うれしかった。

まず、どんな劇団に入ったの?
 昼間、働きながら行けるところを探したんですが、東京の田端にある、文化座という劇団を、みつけました。
 それで、9月に試験があり、60人中、25人ぐらい劇団の研究所に入ることが出来、その中に入りました。
 佐々木愛さんとか、昔は山形勲さん、山村聡さん等がいた劇団です。

基礎から訓練したんですか?
 新聞の「天声人語」を読むことから、クラシックバレエ、声楽、詩の朗読など基本から、ひととおりやりましたが夜のけいこなので、すごく深めることは出来ず、一通りやったものの中で、深めたいものは自分でやっていくという感じです。
 そういう時期が一年たつと、はじめて研究生となり、劇団の公演の流れに入っていくのですが、年に3回の公演には、それぞれ1週間〜2週間の本番があり、けいこは、その公演の前に40日間あって、バイトは禁止されていたので、2年目から急に生活が苦しくなり、ガリガリにやせてゆきました。
 旅公演につくと、3食、出ますし、ギャラも少しですがもらえるので、それで旅に参加するというのが一番の望みということになりました。

何年ぐらい、いたの?
 文化座には4年いましたが、ある時、幹部の人に「君はうちには合わないんじゃないの」って言われて、自分でもミュージカルを演りたいと言っていたこともあって、やめました。
 その後、金沢へ返り、アマ劇団に参加したり、ミュージカル劇団を創ったりしました。Y・A・C(ヤングアーチストクラブ)という集団で、踊り、歌も、かなり熱を入れて、レッスンしました。ミュージカルはオリジナルで3本創ったのですが、客の動員が、300人どまりで、3年で空中分解しました。
 再び東京へ活動の場を求めて上京し、テアトロという演劇雑誌を見て、「炎の人」という芝居を「銅鑼」という劇団が上演し、役者も求めていると知り、連絡したところ、話が合って、それから10年ほど「銅鑼」で活動しました。「あっぱれクライトン」という芝居はミュージカルっぽい作品で、歌、踊り、が入っていて、自分の好きな作品でした。

それが10年ぐらい前に、なるんですか?
 その時期に合同公演があって、良い役が来て、がんばったんですが酒の上で大失敗をして、劇団をやめることになりました。
 色々な、つてで、それからは「青芸」とか「えるむ」という劇団で活動をやりだしたのですが、子供が急病になり、そばにいたいということで、旅公演は、やめることにしました。
 それからは、近くのスナックで一人芝居を演ったり、単発の東京公演に出たりすることに、活動のスタイルが変わりました。テレビでも時々、演るのですが、不本意な仕事が多いので自分の好きな芝居を、自分のペースで演っていこうということでライヴハウスにも足をふみ込んできたのです。

グッドマンなんて、今は「ぴあ」にも、のってないのに、どこで知ったんですか?
 ピアノの秋山美保さんの紹介です。美保さんは、三味線の内田典文さんのライヴを見に来て、知ったそうです。
 私としては、チケットのノルマが安いというのが一番の魅力です。今、会場を借りるのは、どこも高いです。

グッドマンでの演目は、芥川の「藪の中」、と「ゴッホとゴーギャン」、ですが以前から演っていたんですか?
 「ゴッホとゴーギャン」は前から、やっていたのですが、「藪の中」は、今回、初めて、上演しました。
 私は新劇出身ですので、まず台本ありき、で、これは、しかたがなくついてまわると思うのですが、だいたいのストーリーの流れは決めておいて、セリフは、その場で創ってゆく、という作品も演ってみるつもりです。その日の、お客さんの顔ぶれを見て、そこで芝居を創るなんてことは、私の場合、無理でしょうが、それに近いスタイルの作品も、いずれ、やってみるつもりです。……まずは、楽しく演る方向で、そして、お客さんも楽しくなる作品を創りたいと思います。

では、ここで岡部さんからの質問で「一人芝居は場の雰囲気を自分で作り出す必要があるのではないかと思います。即興演奏も似たところがあるのですが、そのあたりの心構え等を、お聞かせ下さい。」
 やはり、どこかに集中してゆく必要がある、と思います。何に集中するか、だと思うのですが、普段の西田とは違う何かやるぞ、と期待させるものが必要なのでしょうが、はっきり言ってわかりません。……プレイする訳ですから、そのプレイを出来るだけスムーズに行なえる準備だと思うのですが……?

最後に……私は映画が大好きなんですが、映画の仕事も、するんですか?
 メジャーの作品には、まだ出ていません。しかし、いずれチャンスがあれば……。
 出演した映画は、まだ一本だけで、「レイジングユーバリ」という、夕張ファンタスティック映画祭で上映された作品です。主な4人の登場人物は全員、東京の役者で、私も、その一人でした。役どころは、サラ金業の親分で、その子分と、サラ金にいじめられるラーメン屋の娘と、そこへ来るさえない青年の話なのです。私としては、おもしろい作品でした。
 去年の11月いっぱい下北沢でレイトショー公開されていたのですが全体のデキが今ひとつだったので、あまり宣伝しませんでした。
 夕張映画祭は、毎年2月に行なわれるのですが、去年見た中で気に入った作品は、題名は忘れたんですがインドのミュージカル作品で、見終って、すごくスッキリしました。主人公が太めなんですが画面狭しと踊るのは、おかしいものです。
 あと、日本の作品で「月光のささやき」。すごくナイーブな、青年期の男女のラブロマンスで、こんな作品に出演したいと思いました。
 映画は、生ではないのですが、演るときは、もちろん生であるし、その良い状態が、役者が死んでも残るのは、ステキなことです。……役者としては、この正月にテレビで「幸せの黄色いハンカチ」を何度目かですが観たのですが、武田鉄也さんが出色でした。あーいう作品には、何としてでも出演したいものです。


映画の話になった所で、毎年コウレイの、私が去年見た映画ベストエイト、順不同です。
 SARA (ポーランド97) マチェイシレシツキ
 ビッグリボウスキー (2回目、見て、次点から上がりました)
 ロックストック&トゥースモーキングバレルズ (英99) ガイリッチー
 アイズワイドシャット (99) スタンリーキューブリック
 サイモンバーチ (98) マークスティーヴンジョンソン
 ファザーレス (98) 茂野良弥
 ソルジャー (?) ポールアンダーソン
 コンタクト (?) ロバートゼメキス
次点も多いよ。ムトゥ踊るマハラジャ(K.S.ラヴィクマール) 地球は女で回っている(W.アレン) ひみつの花園(矢口史靖) ドレス(アレックスファンバーメルダム) ライヴフレッシュ、私の秘密の花(共に、P.アルモドバル) ダウンタイム(バハラットナルルーリ) スイートヒアアフター(アトムエゴヤン) セントラルステーション(ヴァルテルサレス) ラブレター(森崎東) 以上です。

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